立春式で講演しました

  • 1970.01.01 Thursday
  • 08:59

 活動報告納めというタイトルで記事を書いたっきり、年明けても全然更新されないなんて縁起悪いですね…。すみません。せっせと活動はしておりますが、まだ結実せず、報告できることがなかったので…!日々の雑感はこちらに書いてますよ。

 2月3日に兵庫県の三木市立星陽中学校の立春式で記念講演のゲストとして呼んでいただき、60分の講演をしてきました。立春式というのは昔の人が元服した年になぞらえて、14歳を迎えた中学二年生を祝い、大人になった決意を表明する式なのだそうです。初めて聞いたのですが、とても意義深い式でした。みんな立派だった…!わたしなんて、三十路になって、ようやく大人の自覚が生まれたというのに…!

 で、そんな式の第二部がわたしの講演。こんなに弱小作家なのに講演なんて…! でも、メジャーな人たちに比べて紆余曲折あるからこそ、今から夢を目指していく中学生に伝えられることがあるかなと思い、一生懸命がんばりました。

 わたしが中学生のとき、大人の言葉なんて耳に入らなかった。大人は自分とはつながっていない、別世界の遠い人たちだった。そんなことを思い出しながら、どうしたら彼らの中に入って、ひとことでもいいから言葉を置いて帰れるかな…と試行錯誤しつつ。届いたかなあ。少しでも届いているといいな。

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講演タイトル。イラストレーター大前壽生さんが描いてくれた似顔絵を使用させてもらいました。○○に入るのは「覚悟」。中学生のときに早くも「小説家になりたい」と自分の道を決めたにもかかわらず、29歳までなれなかった自分の経験を話しつつ、楽しいからやりたいと思っているうちは夢は叶わなくて(つらいことが出てきたら逃げてしまうから)、しんどくてもやりたいと思えたときに夢は叶うんじゃないか、だから必要なのは才能や努力よりも「覚悟」だった、という話をしました。

で、最後に夏目漱石先生のお力を借りてですね。覚悟について書かれている虞美人草の宗近君のセリフを解説し、朗読しました。予備知識として人物関係図を見せてワイドショー風に解説しつつ。

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許婚を捨てて金持ちの七尾のところに行こうとしている小野さんを、宗近君が説教するという場面。昔、このブログでも紹介したこのセリフです。

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立春式の様子は星陽中学校のHPに掲載されています。→こちら

三木市は金物の町ということで、記念に文化包丁までいただいてしまいました。職人さんがひとつひとつ手作りしているという包丁。さくっと力を入れずに切れて、しっとりと余韻が残る。重すぎず、軽すぎず、ほどよい重量感。ああ、包丁ひとつでこんなに料理のテンションが変わるなんて!もっとあれこれ切らせろ…!というくらい大満足です。

星陽中学校の先生方、よい機会を与えていただいて、本当にありがとうございました。生徒のみなさまと保護者のみなさま、静かに聞いてくれてありがとうございました。

コメント
EMAIL: IP: ■アクアン
いやあ、アクアンの苦労には負ける…。いつか小説にさせてください(笑)覚悟せざるを得ない大変な状況に巻き込まれたら、嫌でも覚悟が決まるんだけど、わたしは要領よく逃げ回ってたおかげで、その覚悟がなかなか決まらなかったんだなと思って、私みたいになっちゃ駄目だよ〜と駄目な例として中学生に紹介しました。おかげでよく伝わった(笑)
EMAIL: IP: 覚悟、人生のいろんな場面で必要なものだよね。たくさん苦労したぱそ子ちゃんだからこそ伝えられることがあったと思うよ。

覚悟したつもりでも難関にぶち当たる度にまだまだ覚悟不足だったなと反省する日々だよ、生きてくってこんなにも大変なんだね(^^;


今後の活躍、楽しみにしてるよ!
頑張れ!
  • アクアB
  • 2012/02/14 8:16 PM
EMAIL: IP: ■鈴木君
ありがとう。まだまだぴんと来ないと思うだろうけど、将来ちょっとでも思い出してもらって役に立ったらいいな。

■花谷さん
ご指摘ありがとうございます。確かに才能「よりも」というのは言いすぎかもしれませんね。作家や芸術家にとって、一番大事なのは才能なのかもしれません。でも、溢れるほどの才能があっても、それを仕事として一生やっていこうとするためには、ある種の覚悟が必要なんじゃないかなということを60分の中で伝えました。村上春樹さんも毎日毎日書き続けるストイックな生活をしていますが、それをお店を経営されていた頃は毎日店を開けなければいけないからそれに比べたら…というようになぞらえて当然のことだと語られていました。覚悟というと物々しいですが、毎日働いてがんばってる誰もが持っている当たり前のもののことです。わたしにはそれが欠けていました。自分には特別な才能があるから、なんて根拠もなく奢っていたせいで。要点だけを抜き出したスライドだけでは性急過ぎて誤解させてしまったことをお詫びします(本番は19枚。わたしの中学時代の写真や体験などの写真も交えたスライドをいろいろ作りました)。

>寒竹さんの場合は、覚悟が「真面目」な創作の姿勢を導き才能を目覚めさせた

その通りだと思います。覚悟という前提があって初めて仕事にできて、その上で才能があって成功する。わたしの場合は才能があるのかないのかまだ分からないなあ…って思ってますが…。成功した人が、あとから「才能があった」と言われるようになるのかもしれません。
EMAIL: IP: わたしはその講演を聴いてないのであれですが、少し気になったので書きますね。

寒竹さんがこちらブログでも紹介されていた『走ることについて〜』で、村上春樹は作家にとって最も重要な資質は「才能」であると述べています(次に重要なのは集中力)。

才能というのは気むずかしいところがあります。寒竹さんの場合は、覚悟が「真面目」な創作の姿勢を導き才能を目覚めさせた(あるいは作品に、その才能にふさわしいだけの形をあたえた)ということではないでしょうか。

才能は作家の前提条件(村上春樹の言葉)なので、それと「覚悟」や「真面目」を「○○より○○」とくらべて語ることにはいくらか違和感を持ちました。作家にとっての「覚悟」や「真面目」は、それぞれの作家が「才能」にアプローチするための「個性」のひとつではないでしょうか(無頼派の作家が放蕩によって才能を開花させるなど)。
  • 花谷
  • 2012/02/09 4:06 PM
EMAIL: IP: 覚悟ってのは、よくわかるわ。大学卒業してから、ずっと売れない役者やってた時は、まだその覚悟が無かったわ。でも、今は働きながらでも芝居を続けるって覚悟を決めた途端、道が拓けた気がします。きっと、中学生にも伝わったと思うよ。
  • 鈴木です
  • 2012/02/07 11:54 PM
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